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更新日:2018年2月15日

富士市CKD(慢性腎臓病)ネットワーク 当院の状況

富士市CKDネットワークとは

検査

平成25年4月、慢性腎臓病(CKD)患者を早期に見つけ適切な治療をすることで透析導入患者数を減らし、かつ心血管疾患の危険因子を減らす目的のもと、富士市医師会、富士市役所、当院、その他関係機関が協働し、富士市CKDネットワークを立ち上げました。
本ネットワークでは、健康診断等から早期にCKDのリスクが高い人を見つけ、かかりつけ医と腎臓専門医が連携して治療にあたり、さらに関係機関が一体となって市民に啓発を行う体制を整えています。ネットワーク開始以降、かかりつけ医の先生方との連携が緊密になり、かかりつけ医と専門医が協力してひとりの患者さんを診察する仕組み『2人主治医制』も定着してきました。早期から腎臓病を治療することで、透析導入や心血管疾患が減少すると期待しています。

富士市CKDネットワークの目標

  1. CKDの理解を深めること
  2. CKDに対する適切な医療体制を整えること
  3. 1.2をとおして富士市における透析導入と心血管疾患発症の低減を図ること。

富士市CKD(慢性腎臓病)ネットワークが始まりました(富士市ウェブサイト)(別ウィンドウで開きます)

腎臓の働きと腎臓病

腎臓は、体内の環境を最適な状態に整えるという重要な働きをしている臓器です。具体的には、さまざまな臓器から出てきた老廃物を含んだ液体をろ過して、きれいになった血液を心臓に戻すという働きをしています。ろ過されることにより排出される不要な水分や物質は、尿として排出されます。その他にもにも、体内の水分やミネラルを調整する機能や、血圧の調整に必要なホルモンを作る機能も有しています。

腎臓の働き

腎機能が低下してきても、初期にはほとんど症状が現れません。そのため治療せずにそのままにしてしまいがちですが、ある一定レベルまで進行してしまうと、腎臓は自然に治ることはなくなってしまいます。むくみや貧血、夜間頻尿といった症状が現れるころには、病状がかなり進行している場合が多く、体調変化による早期発見は難しい病気です。
そこで、定期的な健康診断での尿や血液の検査結果より、早期に発見し、速やかに治療につなげていこうとする取り組みを行っているのです。

腎不全の3つの治療法

腹膜透析

腹膜透析

血液透析

血液透析

腎移植

腎移植

CKDとは?

CKDは、2002年に提唱され今では全世界で使われるようになった慢性に経過する腎臓病の総称です。CKDは、血液検査により示される腎機能の働きを表す数値GFR(糸球体ろ過量)が低下している、もしくは腎臓の障害を示唆する所見(タンパク尿など)が慢性的に(3か月以上)持続するものすべてを含めます。

CKD対策が叫ばれているわけ

  • CKDは数が多い
  • CKDは健康への脅威になる
  • CKDは治療が可能である

2005年の統計によると、わが国のCKD患者数は1,330万人と推測されています。また、CKDは透析予備軍であるだけでなく、脳卒中や心臓病の危険因子であることが明らかになっています。
CKDの重症度は原因、腎機能(GFR:G)、蛋白尿(アルブミン尿:A)で評価します。日常診療では、GFRは血清クレアチニンと年齢・性別より成人では「日本人のGFR推算式」を用いて推算GFR(eGFR)として評価します。蛋白尿は尿蛋白濃度と尿クレアチニン濃度の比率で評価しますが、試験紙による簡便な検査でもおよその推定は可能です。CKDはGFRが低いほど、蛋白尿が多いほど重症度が高いと判定されます。
CKDの治療にあたっては、まず生活習慣の改善(禁煙、減塩、肥満の改善など)が大切です。さらに、今日では「CKD診療のガイドライン」が整備されており、CKDの段階(下図参照)に応じた適切な治療が受けられるようになっています。

重傷度分類

富士市CKDネットワークの体制

  • 富士市医師会の医療機関にかかりつけの患者さんあるいは特定検診などの検診を受けた方でCKDが疑われた場合、富士市内の腎臓専門医(当院あるいは聖隷富士病院)に紹介されます。(下図A)
  • 腎臓専門医は心臓病の診断、重症度の評価を行って、患者さんと相談のうえ治療方針を立てます。結果は紹介元に報告し、可能な限りかかりつけ医と連携して治療にあたります。(下図B)
  • ネットワークの事務局は富士市保健部健康対策課がつとめ、事業の推進、実績の評価などを行います。(下図C)

富士市CKDネットワーク体制図

ネットワーク開始後1年間の当院の状況について

紹介患者数の増加

下のグラフは、ネットワークによる活動を開始する前(2012年度)と開始した後(2013年度)の当院への紹介患者数の変化を示したものです。開始前1年間に紹介された患者数は169人でしたが、開始後1年間では274人と1.6倍に増加しています。また、特定検診の結果による紹介者(グラフ内の薄赤色部分)は39名いらっしゃいました。
また、性別比率は男性72:女性38、受診時の年齢別構成は、70歳台を頂点に平均年齢68.3歳と、活動を開始する前と比較しても大きな差はみられませんでした。

CKD紹介者数

紹介患者の比較

重傷度別の比較

紹介された患者さんを重症度別に振り分けてみると(下のグラフ)、開始前1年間はG5A3の区域、すなわちGFRが低くタンパク尿が多い最も重症な患者さんが多かったことがわかります。一方、開始後1年間に紹介された患者さんでは、GFRが比較的良好なG3a~G4の患者さんが多くなっています。ネットワークにより軽症のうちに紹介されて来院していることは明らかで、今後、透析の導入や心血管病の発症を予防できるようになると期待される変化といえます。

開始前1年の重傷度別

開始後1年の重傷度別

連携安心カードの活用

連携安心カード

CKDの診療はできるだけかかりつけ医と専門医が協力して行います。
CKDの病状が安定している患者さんは、普段はかかりつけ医に通院していただき、3~6か月に1回程度専門医に受診していただきます。受診時の状況等については、富士市CKDネットワーク作成の「慢性腎臓病(CKD)連絡手帳」により報告され、医師同士が情報を共有できるようにしています。また、当院では患者さんに「連携安心カード」をお渡しし、専門医が引き続き診療にあたっていることを明らかにしています。
2013年度の1年間で122人の患者さんにご登録いただき、CKDの診療に関して腎臓専門医が長く診療に関わることができる体制がとられています。当院が進めている『2人主治医制』の定着に、率先して取り組んでいます。

腎臓病教室の紹介

当院では、平成9年5月からCKDの患者さんとそのご家族を対象に腎臓病教室を開催しています。講義は各分野の専門家が担当し、毎月1回、テーマを変えて開催し、6回で全課程が終了します。誰でも無料で、どの回からでも受講していただけますので、CKDについてもっとよく知りたいという皆さんにはご参加をお勧めします。

腎臓病教室スケジュール