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更新日:2023年9月12日
当院は静岡県東部で数少ない常設の脳血管内治療(カテーテル治療)が可能な施設です。脳卒中救急は24時間365日態勢で脳梗塞超急性期のt-PA静注療法および血栓回収術、くも膜下出血に対するコイル塞栓術等の脳血管内手術に対応しています。また、最先端のバイプレーン血管撮影装置を整備し精密画像解析下でのステント治療も可能です。脳血管内治療の際には、当院の専門医と派遣元大学である東京慈恵会医科大学病院の専門医が連携し、大学病院と同等の治療を提供しています。
東京慈恵会医科大学 村山 雄一 主任教授 の外来日
※各日とも診察時間は午前10時から午前11時まで
事前にかかりつけ医を受診し、紹介予約をお取りください。
脳血管内治療とは、血管の中に極微細なカテーテルを入れ頭蓋内・頸部血管まで進め、脳の血管障害や頸動脈病変を血管の中から治療する方法のことをいいます。この技術により、脳神経外科領域において頭を開けたり頸を切ったりすることなく治療ができるようになり、より手術侵襲(身体への負担)を抑えた治療が可能となりました。
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脳血管内治療は1970年代に始まり、医療機器の進歩とともに1990年代には欧米で積極的に行われるようになりました。2000年代に入り、臨床研究等によって従来の開頭手術と同等の成績が報告されるようになり、日本でも積極的に行われるようになりました。近年では日本でも多くの施設が血管内治療を取り入れており、開頭手術や直達手術にかわる第一選択の治療として扱われています。その一方、高精度の血管撮影装置や脳血管内治療を行う専門医の確保が困難で、都心部へ足を運ばないと脳血管内治療を受けられない地域がまだまだあるのが現状です。
脳動脈瘤内にコイルを詰めることで、内部に血液が入らないようにして
破裂を防ぎます。
大脳半球全体を栄養する血管である内頚動脈が狭くなっている部分に対し、
血管の内側から風船で狭窄部を広げ、さらに金属でできたステントという
メッシュ状の管で補強します。
例えば脳動脈瘤の予定手術の場合、開頭手術では2週間弱の入院を必要としますが、脳血管内治療では1週間の入院で済みます。また、開頭手術では手術前に手術箇所の髪を剃る必要があり、術後は開頭部の痛みの心配もありますが、脳血管内治療では足の付け根を5mm程度切り体の中から治療を行うので、頭部を傷つけることなく術後の痛みはほとんどありません。術後の回復も開頭手術に比べると非常に早く、入院生活でも身体への負担はほとんどなく過ごすことができます。
脳血管内治療ができるかどうか・従来の手術と脳血管内治療のどちらが良いかは、日本脳神経外科学会専門医に加えて脳血管内治療の専門医(※)を有する医師による判断が望ましいです。他の施設で開頭手術しかないと言われても専門の医師が診ることで脳血管内治療が可能といったケースは多々あります。当院では紹介患者さんはもちろんセカンドオピニオンも積極的に受け付けております。また、くも膜下出血等で他施設に搬送された患者さんでも、当院での手術を希望されれば随時受け入れる体制をとっております。
※日本脳神経血管内治療学会専門医といいます。
当院では、頭を開けなくて済むなら開けたくない、頸を切らなくて済むなら切りたくない、そういった患者さんの気持ちに寄り添った医療を提供してまいります。