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更新日:2025年5月20日
当院は、令和5年3月から手術支援ロボット ダビンチ(da Vinci X)による手術を開始しました。
手術支援ロボットは、精度と効率を向上させるために開発された医療機器です。このロボットは、外科医が手術を行う際に使用するツールであり、高い精度で操作を行うことができます。通常の腹腔鏡手術では鉗子の操作に制限があり、手術手技の難易度は高く、高度の技術が必要でした。その弱点を補うために開発された手術支援ロボットは、カメラと操作アームを備えており、外科医は遠隔操作で手術を行うことができます。
手術支援ロボットは、腹部に穴をあけてカメラを入れ、その映像を見ながら病巣を取り除く「腹腔鏡手術」の一種です。ダビンチのロボット部には4本のアームがあり、1本のアームはカメラを、残りの3本は電気メスなどの器具を装着します。医師は操作部で映し出される高画質で立体的な3D画像を見ながらアームを操作して、がんの切除や患部の縫合などを行います。人間の手よりも緻密なロボットの動きで、安全・確実な手術が可能です。
手術支援ロボットの技術は近年大きく進歩しており、従来の腹腔鏡下手術を比較して、手術支援ロボットを使用することで以下のような利点があるとされております。
手術支援ロボットは、より正確な操作が可能であり、手術中の合併症のリスクを低減との報告があります。
手術が難航した場合でも、手術支援ロボットを使用することで開腹手術への移行が減少するとの報告があります。
手術支援ロボットを使用することで、手術後の患者の生命予後が改善されるとの報告があります。
当科において手術支援ロボットを使用した手術は胃がんと直腸がんの一部の症例に限定しています。しかし、手術支援ロボットの技術は今後も進化を続けると期待されており、将来的にはさらに多くのがん治療にも応用されると期待されます。
手術支援ロボットを使用することで、患者さんの身体への負担が軽減され、回復期間も短縮される傾向があります。これにより、患者さんは早期に日常生活に戻ることができるようになります。また、手術の精度が向上することで、再発率の低減も期待されます。
診療科 |
対象疾患 |
術式 |
開始年 |
令和5年度 |
---|---|---|---|---|
泌尿器科 | 前立腺がん | 前立腺全摘 |
令和5年 |
44 |
外科 | 胃がん | 幽門側胃切除 胃全摘 |
令和6年6月予定 |
- |
大腸がん(直腸) |
直腸切除・切断術 |
令和5年 |
3 |
|
大腸がん(結腸) | 結腸切除術 | 令和5年 |
2 |
ロボット手術では、患者さんのQOL(生活の質)を維持することができます。3次元の拡大画像を見ながら、より可動性が向上した鉗子(はさみ、ピンセットなど)を用いて手術を行うため、がんを取り残すことなく摘出が可能です。前立腺の先端にある尿道括約筋を十分に残し、尿道と膀胱を正確に吻合することで、尿失禁率が低減します。患者さんによっては前立腺の周囲の勃起神経をより精密に温存することにより勃起不全の確率が低下する可能性があります。
ダビンチ手術における切開部
術式名:ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(腹腔鏡下根治的前立腺摘除術)
診察時に、主治医にお申し出ください。
ロボットが自動で手術を行うことはありません。認定を受けた医師がロボットアームを操作して手術を行います。
高齢の方でも、開腹手術や腹腔鏡手術に耐えられる状況にある患者さんであれば、ロボット手術を受けることはできます。ロボット手術は開腹手術よりも患者さんの身体への負担は小さいといえますが、治療については、担当医が患者さんと十分に話し合って決定します。
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