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更新日:2020年1月22日
放射線治療は、放射線を用いて病気の治療を行います。
一般的な検査で使用する放射線よりも高いエネルギーの放射線を当てることにより、病気の細胞を死滅させていきます。
放射線治療には、大きく分けて体の外から放射線をあてる外部照射と体の中に放射性物質を入れて治療する内部照射がありますが、当院では外部照射による放射線治療を行っています。
現在では、高齢化や食生活の変化により癌患者が増加傾向にあります。
そのため、癌の治療の3本柱のひとつである放射線治療の需要も高くなってきました。
治療のためには、病巣へのできる限り集中した放射線の照射を行いながら、かつ周囲の重要臓器へ影響を与えないように高精度の治療を行わなければなりません。
今回導入された装置は、放射線治療の照射精度の向上を目的としたX線システム(X線撮影・X線透視・CT撮影)を搭載し、画像誘導放射線治療(IGRT)、呼吸同期照射(RPM)などの最新の放射線治療技術を可能とし、従来の治療装置に比べ格段の正確性を持ち、以前にも増して患者さんに優しい治療が実現できるようになりました。
《画像誘導放射線治療(IGRT)》
放射線治療装置に搭載された高精度なロボットアーム型X線管球を用いて、放射線治療時に寝台上でX線撮影、X線透視、CT撮影などを行い、照射位置の誤差を補正しより正確に放射線治療を行う技術です。
《呼吸同期照射(RPM)》
肺や肝臓など呼吸によって動く臓器の腫瘍に対して、呼吸のタイミングに合わせて放射線を照射する技術です。
放射線治療は、その治療に適した放射線の種類を選択し病巣に集中して放射線を大量に照射する一方、周囲にある正常組織にはできるだけ放射線による影響が少なくなるように治療をしていきます。これにより、できるだけ副作用をおさえた治療を行うことができます。
このように放射線治療の特徴として、からだをほとんど傷つけることなく,また正常な機能をほとんど損なわずに治療することができます。
治療期間については、身体の負担をできるだけ少なくするために通常1~2ヶ月程度かけて行っていきます。病気の種類などによっては短い期間で治療を行う場合もあります。
放射線治療は予定された量を一定期間にあてなければ効果がありませんので、継続して治療を行っていきます。
また、病気の種類・病巣の範囲によって放射線治療の効きやすさに違いがありますので、すべての癌に対して治療できるわけではありません。
治療時間は10~15分程度(実際の照射時間は2~3分です。)です。治療中は照射室内には患者さんのみしか入れません。治療中の様子は操作室のモニターで見ています。具合が悪いことがあればマイク、合図でお知らせください。
治療部位によっては、照射する位置を確認するために写真を撮影する場合があります。また、同時に位置確認をしながら照射を行うこともあります。
体に放射線があたっても、痛みはありません。また治療中に機械が回転しても決して体に触ることはありません。
治療は治療計画で付けられたマークを基準に体を合わせます。治療中に動きますと治療部位がずれたりし、正確な予定線量が入らなくなります。治療中は動かないようにしてください。
放射線治療を行うにあたって、放射線の出力が正しく保たれている事が重要です。当院においても職員が線量測定を行い、さらに第三者機関である公益財団法人 医用原子力技術研究振興財団に測定を依頼し正確な線量が出力されているか確認をしております。