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更新日:2021年9月21日
全身や腰椎の骨塩の状態(骨密度)を測定し、骨粗鬆症の早期発見や予防診断に使われます。
当院の骨密度測定装置(bone densitometry)は、米国GEヘルスケア社製PRODIGY Fugaに2021年3月に更新しました。
日本の骨粗鬆症の患者数は1300万人といわれ、今後ますます進む高齢化によって、その診断と予防の重要性は高まっています。
骨粗鬆症はほとんど自覚症状がありません。そのため、定期的に骨密度検査を受けることで骨粗鬆症の早期発見につながります。当院で使用している骨密度測定装置では、放射線被ばくの量が、胸部レントゲン撮影よりも非常に少ない線量で検査を行うことができます。
骨粗鬆症とは、骨の強度の低下により骨折リスクが増大した状態で、WHO(世界保健機関)では、「低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である」と定義されています。
骨の強度とは、「骨密度」と「骨質」の2つの要因からなるといわれています。
骨粗鬆症による骨折(脆弱性骨折)は、椎体、大腿骨近位部、下腿骨、橈骨遠位端、上腕骨近位部、肋骨などで起きやすいといわれています。特に椎体や大腿骨近位部の骨折をすることにより、ADLやQOLの著明な低下につながります。
骨粗鬆症の治療と予防の目的は、骨折を予防し、ADLやQOLの維持改善をはかることにあります。
ADL(activities of daily living)・・・日常生活動作、QOL(quality of life)・・・生活の質
骨密度検査は、骨に含まれるカルシウム等のミネラルがどの程度あるかを測定する検査です。
測定する方法は複数ありますが、当院ではDXA法を用いています。DXA法とは異なる波長のX線を用いて人体をスキャンし、骨とそれ以外の組織でのX線の吸収率の差を用いて骨密度を測定します。高い精度で測定することが可能で、骨粗鬆症の診断や骨粗鬆症治療薬の使用による効果判定を正確な数値で確かめることが可能となっています。
骨粗鬆症のガイドラインでは、”DXA法を用いて、腰椎および大腿骨近部位の2部位を測定することが望ましい。腰椎では前後方向の骨密度、大腿骨近位部は全大腿骨近位部または頚部の骨密度のうち、より低い値を用いて診断する”ことを勧めています。
当院では、このガイドラインに則った骨密度検査を行っています。
検査(撮影)時間はおよそ10~20分程度です。(撮影部位数により異なります)
検査前の食事制限はありません。
測定部位に金属やプラスチック類がある場合、測定結果に影響するため検査着に着替えていただきます。
撮影台の上に仰向けに寝てもらい、測定が終了するまで動かないでいただきます。
動いてしまうと測定結果に影響しますので、ご注意ください。
注意
骨密度検査の直前に放射線不透過性造影剤(消化管造影検査やCT・MRI造影検査)や核医学検査(ラジオアイソトープ検査)が行われている場合
3~7日間(使用薬剤により異なります)の待機期間をおいてから検査を受けられることをお勧めします。これらの医薬品が身体に残存していると、正確な測定を妨げます。
検査結果として、患者s本人と若年成人の骨密度の平均値(YAM : Young Adult Mean) との比較(若年成人比較 : %、Tスコア)、同年代の方の骨密度の平均値との比較(同年齢比較 : %、Zスコア)がわかります。
脆弱性骨折(腰椎・大腿骨近位部以外の骨折)がある場合は、若年成人比較値が80%未満は骨粗鬆症、脆弱性骨折がない場合は、若年成人比較値が80%以上で正常、70~80%またはTスコアが-2.5SDより大きく-1.0SD未満では骨量減少、70%以下または-2.5SD以下は骨粗鬆症と評価します。
自分自身の骨の健康状態を知り、食事・運動など生活改善をすることで予防にもなります。
腰椎の骨質の評価に使用できる海綿骨構造指標(TBS:Trabecular Bone Score)を算出することができるようになりました。TBSとDXA法を組み合わせた場合、DXA法単独よりも骨折発生リスクの予測を改善するといわれています。
全身を撮影することにより骨量・脂肪量・非脂肪量を測定でき、これをもとにSMI(Skeletal Muscle Mass Index:骨格筋量指数)を算出することにより、サルコペニアなどの診断に有用です。
サルコペニア・・・加齢や疾患により筋肉量が減少し、筋力低下や身体機能の低下が起こること