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更新日:2025年4月9日
当院治療機器更新のため放射線治療は一時休止しております。治療再開は2025年10月頃を予定しております。
放射線治療科では放射線を用いて様々ながんの治療を行っております。放射線治療は手術、薬物療法と並ぶがんの3大療法のうちの一つで、根治をめざす治療から症状を和らげる緩和治療まで幅広く行っております。放射線治療は全身的な副作用が軽く、機能や形態の温存が可能であることが特徴です。当院の放射線治療の特徴として、画像誘導放射線治療、呼吸性移動対策、定位放射線治療などの高精度放射線治療があげられます。
専門分野
資格
所属学会
胸部や腹部の臓器は呼吸により常に変動しています。そのため、それらの臓器を照射する場合は呼吸により移動する距離をマージンとして照射範囲に加える必要がありました。しかし、単純に呼吸性移動マージンを付与するのみでは、照射範囲の拡大により副作用の増加が懸念されます。
そこで当院では呼吸モニタリング装置を用いて高い精度の呼吸管理を行っています。その結果、最小限の呼吸性移動マージンの付加で、呼吸で変動する腫瘍に対して照射野を高い精度で合せこむ放射線治療を実現しております。
左乳癌術後に対して放射線治療を行った場合、心臓の被ばくにより数年後に虚血性心疾患が発生する可能性があります。
当院では左乳房・胸壁に照射する場合、大きく息を吸った状態で照射しています。これを深吸気息止め照射と呼びます。この方法により左乳房・胸壁と心臓との距離が広がり、心臓の被ばく線量を大幅に軽減することが可能です。
次の2つの画像は、左乳房照射時の心臓の位置で呼気と深吸気での比較をしたものです。
左図は、呼気(息を吐いた状態)では白線の照射範囲内に心臓(赤)が一部入り込んでいます。
右図は、吸気(息をすった状態)では照射範囲内から心臓が完全に外れています。
定位放射線治療とは小さな腫瘍に対して多方向から放射線を集中させ、腫瘍に高線量を投与する照射方法です。画像誘導技術や呼吸移動対策も同時に併用し、極めて高い精度で腫瘍を狙い打ちます。体幹部では肺癌、肝細胞癌、膵臓癌、腎癌、前立腺癌のうち、転移のない早期病変が適応となります。また5個までの少数の転移性腫瘍も適応です。頭蓋内では転移性脳腫瘍がおもな適応となります。適応疾患では高い局所制御を望めます。